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「この世界に君は何人いる?」、ナルシスト全開な英会話講師が教えてくれた大切なこと

私には今でも心の支えになっている言葉があります。
とてもネガティブで病み気質だった私を、今のようなスーパーポジティブな人間に変えてくれた忘れられ ない言葉です。

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この記事の中では便宜上、講師の名前をフレッドとしています。仮名です。

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大学2年生の夏、私は留学したかったため近くの英会話スクールに通っていました。

そこはオシャレなカフェのような場所で、
講師や受講生をはじめ、受付の方もみんな優しい居心地のいい場所でした。

私はいつものように自分の受ける中級(intermediate)クラスの教室へ向かいました。
ですが、何やらいつもと様子が違うのです。
教室中に、見慣れない写真たちが飾ってあります。

よく見ると全て講師のフレッドの写真です。

実はいつもの先生が急用で来られず、 代わりにフレッドが私達のクラスを担当することになっていました。

フレッドは自分大好き!な、いわゆるナルシストでした。

フレッドはとにかく明るい。
英会話講師をしている外国人は総じてハイテンションなイメージがありますが、
フレッドは明らかに別格です。
アメリカのコメディを見ているくらいリアクションも大きいし、いつも笑っています。

私は中級クラスに属してはいたものの、TOEICの対策ばかりしていて英会話は得意ではありませんでした。
そのため、なかなか言いたいことを英語で言えなかったり、愛想笑いでごまかすようなことがよくありました。

その日も同じ感じで、
「もう少し、話せたらな…。」とか「もっとたくさん表現できたのにな…。」とか、
ちょっぴり反省ムードでした。

そしてそのまま帰ろうとしていた時、

「Hey, Haruki!」

声をかけてきたのはフレッドでした。

なんの用事だろう?と考える間もなく、突然質問されました。

「How many Haruki in this world?」

詳しい英語のニュアンスは覚えていませんが、大体こんな内容だったと思います。

この世界にHarukiは何人いるか……。
私と同じHarukiという名前の人なら何人もいるだろうな、とか、
そういう質問じゃないか、とか考えていると、

「Haruki、君は世界に一人だけだろう。
世界に一人しかいない自分を愛さなくてどうする!
僕はフレッドという人間が好きさ。
だから教室中に自分の写真を飾るんだ。」

力強いその言葉に私はハッとさせられました。
当たり前のようなことだけど、フレッドのように自分を愛している人はどれだけいるだろうか。
フレッドは自分自身を心から愛しているからこそ、自信満々で楽しく、明るい人生が歩めているのです。

私はその日から「自分の人生は自分が主人公。堂々と生きていこう。」と思えるようになりました。

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フレッドはそのシーズン限りで英会話スクールのあった大分を離れ、
県外の島で自給自足の生活を送るために旅立ちました。

自分のことを愛し、人生を楽しんでいる者の自由さを感じました。

周りの目は気にせず、自分をいちばん愛すること。
それが楽しく生きるためのシンプルな方法です。

P.S.
教室中に写真が飾ってあったと書きましたが、
トイレにあったヒュー・ジャックマンの写真も、
パイロットのコスプレをしたフレッドに変わっていました。